1984年の10大ニュース

1984年の10大ニュース

グリコ・森永脅迫事件

3月18日の夜、江崎グリコ社長の江崎勝久氏が、兵庫県西宮市の自宅で入浴中、覆面姿の男たちにピストルで脅迫され、全裸のまま拉致、誘拐された。翌19日未明、高槻市内で現金10億円と金塊100kg(時価3億円)を要求する脅迫状が発見されたが、江崎社長は閉じこめられていた大阪府摂津市内の水防倉庫から自力で脱出した。その後、「かい人21面相」を名乗る犯人グループが同社、森永製菓、ハウス食品工業など、食品会社を「製品に青酸を入れる」などと脅し、現金を要求する一大脅迫事件に発展した。犯人グループは、実際に店頭の商品に青酸ソーダを入れたほか、報道機関を通じ警察へ挑戦状を出すなど、大胆な犯行を重ねた。脅迫状を作成したタイプライターの特定や、「キツネ目の男」の目撃情報などいくつかの手がかりはあったが、警察は犯人一味を取り逃がすミスもあって、事件捜査は長期化。1985年08月12日、犯人グループ「かい人21面相」から25通目の挑戦状が届き、その中で「くいもんの かいしゃ いびるの もお やめや」と宣言、事件は表面的には幕を下ろした。2000年2月13日、一連の事件は時効となった。

新札発行

1万円札、福沢諭吉。5000円札、新渡戸稲造。1000円札、夏目漱石。明治の文化人を肖像にした新札が11月01日に発行された。3種同時の発行は初めて。新札の特徴は、省資源と国際化時代に対応するために小型化され、縦は7.6cmに統一、横は旧札より1.4cm縮められた。

長野県西部地震で死者行方不明者計29人

9月14日午前8時48分、長野県西部を震源とする、内陸部では最大級のマグニチュード6.8の地震が発生。震源地に近い同県木曽郡王滝村では、地割れや大規模な土砂崩れが起き、死者14人、行方不明者15人を出す惨事となった。同村では、谷底にあった生コン作業所が100mも押し上げられるなどの惨状を呈し、家屋損壊は427戸にのぼった。震源地周辺は、6年前から群発地震が続いており、特定観測地域となっていたが、その後沈静化したとして監視体制が解かれていた。

三井有明鉱火災で83人死亡

福岡県三池郡高田町の三井石炭鉱業三池鉱業所有明鉱の海底坑道で、01月18日、火災が発生。作業中の707人のうち83人が死亡、13人が重軽傷を負い、炭鉱事故としては戦後4番目の大惨事となった。同鉱は硫黄分の少ない良質炭を産出する新鋭鉱で、安全対策も万全とされていたが、事故当時、煙感知器や集中監視室のランプ点滅装置は作動していなかった。

ロス五輪で山下選手らが金

第23回ロサンゼルス・オリンピック大会が、07月28日に開幕。ソ連や東欧諸国などのボイコットで、1980年のモスクワ大会に続く変則五輪となったが、140の国や地域が参加し、史上最高となった。日本勢では、柔道・無差別級で山下泰裕選手、体操・個人総合で具志堅幸司選手らが優勝、金メダル10個、銀メダル8個、銅メダル14個を獲得した。その反面、プレッシャーで実力を出し切れない選手も多く、水泳選手の一部が大麻を回しのみしていた不祥事も発覚した。

ロス疑惑

1981年11月、ロサンゼルスを旅行中の日本人夫婦が市内でピストル強盗に襲われ、女性が死亡した。その後、夫が1億5000万円もの保険金を受け取っていたことが週刊誌の報道で明らかになり、輸入雑貨商・三浦和義氏への疑惑が浮上した。また一方で、ロス市郊外で発見されていた身元不明の女性の死体が三浦市の元愛人のもので、三浦氏はこの愛人が渡米後に本人名義の預金口座から現金を引き出していたことも判明。これら二つの事件に三浦氏が関与していたのではないかとの見方からマスコミが過熱、取材・報道はエスカレートしていった。その後、三浦氏は、妻・一美さんの殴打事件、銃撃事件の容疑者として、1985年09月11日に逮捕された。1987年08月07日には懲役6年の判決が言い渡されたが、1998年07月01日、東京高裁が一審の無期懲役判決を破棄して大逆転の無罪判決を言い渡し、逮捕以来13年振り釈放された。

東京・世田谷でケーブル火災、8万9000回線の電話が不通に

11月16日、東京都世田谷区の通信用ケーブル専用溝で火災が発生、10時間以上に渡って燃え続けた。この火事で、一般加入電話約8万9000回線のほか、警察、病院、消防などの緊急電話が不通となった。また、銀行の全国オンラインもストップ、金融機関にも影響がおよび、高度情報化社会のもろさを露呈した。電電公社では、この火事を契機に、ケーブルの不燃化、二重回線化に取り組むことになった。

元警察官、連続殺人

9月4日白昼、京都市内で元警察官が巡査が襲い、奪った短銃で射殺。さらに三時間後、大阪市内のサラ金で従業員を射殺し現金73万円を奪って逃走した。元警察官の犯人、広田雅晴元巡査部長は、6年前の現職時代に郵便局強盗を働き、仮出所したばかりだった。5日、千葉県の実家近くで逮捕された。

中曽根総裁を再選、二階堂氏擁立で紛糾

自民党総裁選は、中曽根一本化で調整が進んでいるかに見えたが、10月27日の党内実力者会談で中曽根氏への批判が噴出。一時は公明、民社も加わっての二階堂進副総裁擁立構想が表面化するなど、紛糾した。結局、29日までに中曽根一本化はできたものの、調整の過程で首相の党内基盤のもろさを見せつけた格好となり、傷だらけの再選となった。11月1日は、22年ぶりの女性閣僚を含む第2次中曽根内閣が発足した。

韓国大統領、初の来日

全斗煥大韓民国大統領が、9月6日、来日した。韓国の現職大統領の公式訪問は初めてのことであった。同夜開催された宮中晩餐会で天皇陛下(昭和天皇)は「両国間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾」とお言葉を述べられ、長年の両国のわだかまりを解きほぐす景気となるものとして迎えられた。08には「今後の両国の関係緊密化」などを盛り込んだ共同声明が発表され、日韓関係は新時代へのスタートを切った。

80s!

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