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1989年の話題「一杯のかけそば」

日本中をかけめぐった美談。作者は栗良平。FM東京で1988年の大晦日に「ゆく年くる年」の中で朗読したことがきっかけとなり、一躍脚光を浴びた。大晦日の晩、北海道のそば屋に母子3人連れが入ってきた。「かけそば一杯ください」という。店の主人は食い気盛りの子供たちを考え、盛りを多くして出すと、3人で美味しそうに食べた。それが3年ほど続いた。聞くともなしに聞くと、父親が交通事故で死に、かなりの賠償金を支払うことになり、母親はアルバイトに出て特別手当で事故の後始末をしたという。その後、そば屋は店を改造したが、この母子のために3人が座っていた席はそのままにしておいた。音沙汰がなくなってから数年後の大晦日の夜、その母子3人が店に入ってきた。聞けば、上の子供は大学を出て医者になり、弟の方は高校に入ったという話──。なぜか、本もベストセラーになり、作者は講演会に引っ張りだこだったが、そのうちにこの美談の語り手は、滋賀県のニセ医師でかつ詐欺の常習犯ということが露見し、美談はあえなく消えていった。

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